わたしたちはうつくしい城にいた/凍湖(とおこ)
ことができた
こどもがうまれて
こどものこどもがうまれて
こどものこどものこどもが生まれるほどのあいだ続いていても
その城は
ひび割れたペンキの欠き割りだった
いっときも、願った通りではなかった
ずっと仲間はずれを生んできた
きみの足をふんずける罪を隠すアリバイだった
ぜんぶぜんぶその通りだ
それでも、それでも
大勢の人が叫んだ
おとなもいたし、こどももいたし、白髪あたまもいたし、生まれながらの除け者もいたし、ポケットの小銭しか持たないひともいた
青い制服の強面に押し潰されても
集まった
何ヵ所も、何日も、雨が降っても、日が落ちても
ただ、拠り所を守るために
黒いスクラムのなかで、握りつぶされてしまったけれど
それでも、それでも
あの城が
ただの昔話になるまえに
わたしは、留まりつづける
ただ、ちっぽけなわたしとか、きみとか
唯一の存在として大切にしたいから
留まる。
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