敵/葉leaf
 



存在するということ
そこに立つということ
それは紛れもなく敵であるということ
私は隅々まで敵を探し出す
現象の狭間に隠れた見えない真理も
みんな敵なのだから
私は何も信じなくていい
どんなに高潔な倫理も
みな敵なのだから
私は何に従わなくともいい

私は恋人に癒しを求め
美しい自然に癒しを求め
芸術作品に癒しを求めた
だがすぐに気付いたことだが
私を癒すものは同時に私の敵でもあったのだ
私はすぐさま注意深く距離をとり
その距離の確かさだけを
その距離の堅さだけを
心のよりどころとした

敵とは戦う必要はない
表層では敵は全て味方であるし

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