そうやって僕は何回目かの/オダカズヒコ
こんなこと
すぐに言い出すべきじゃなかったし
ぼくはあれこれ言う前に
彼女に確かめるべきだったんだ
見抜くべきだったんだ
今日
ぼくは一人の女の子を
「不幸」にした
何度目かもわからない
確信がある
入社5年目の花奈ちゃんは
実家がケーキ屋さんで
最近
転勤の話が出ていて悩んでいたのだ
27歳
休憩室で
よく
ぼくにお菓子をくれた
殆ど化粧っ気のないその顔で
ぼくの眼を見るその顔は
あどけなく
どこまでも
純粋だった
たぶん
ぼくのことが好きだったのだろう
でも
好きなんてこと
言い出せるわけもなく
休憩室で
お菓子をく
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