ことばを持たない、内包する彼の人へのオマージュ/kaz.
マルティン・ブーバーの我と汝の対話を読もうとしてやめる
内包する彼との対話を積み重ねていくうちに
対話の薄い層ができあがりそれがやがて海となる
海は陸地へと流れ出して川ができる
川はどこまでも遡って消え去る
その薄い層の表面で我と汝と内包された彼が対話する
落葉の大地を走れ 彼よ
どこまでも行け 彼よ
私は文化祭の置いてけぼりを食らった腹いせに
こんなことを書いている 仕方ないじゃないか
弟が行くなと言ったんだから こんなときこそ夢を見るべきだ
だがこの作品はオマージュになれるだろうか
誰かの夢のオマージュになれるだろうか
僕は言葉をもたずに生まれた海の底で駆け上がるように走るように眠るように眠るように……
目を覚ますように温かいように冷たいようにこの対話の表層が決壊して
アムンゼンの旗を見たスコットのがっかりした気持ちを考えるのだが上手くいかない
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