誤解物語/陽向?
れん草を食べると背が伸びるのよ
彼と山田悠介の話に夢中になっていると
太った女性教師がこちらをじっと見ていることに気付いた
こちらに向かって歩いてくる
彼は身の危険を感じたのか
小説を誰も座っていない椅子の上に乗せた
隠すの下手だなとわたしは微笑んだ
女性教師に直ぐ小説を見つけられてしまい
やれやれと思った
女性教師が思いっ切り小説で頭を叩いた わたしのだ
彼は驚いた顔をしていた なぜかわたしが叩かれたからだ
わたしは殺意が芽生えた・・・
濡れ衣が晴れたのは五時間目が終わった休み時間の頃だった
太った教師はわざわざ遠い教室のわたしの元に来て謝ったのだ
どうやら小説を実際に読んでいた彼が自白したらしい
太った女性教師はとても申し訳なさそうな顔をしていた
ふとこの教師が云っていた言葉を思い出した
ほうれん草を食べると背が伸びるのよ
その日家に帰り 親には一言もその日の事は口にせず
山盛りのほうれん草をまずそうに食べている自分がいた
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