ばいばい/末下りょう
 
手のひらをじぶんのほうに向けてばいばいするあの子、ぼくのばいばいの手のひらの向きを子どもの悪戯みたいに真似て、ぼくに手の甲を向けてばいばいするあの子、ぼくとじぶんにばいばいするあの子、ぼくとじぶんにばいばいしてそのばいばいした手のひらはどこに帰るのだろう、それともぼくとじぶんにばいばいされてあの子は誰になるのだろう、なぜかあの子の手のひらにぼくの手のひらが幾つかの平面を重ねながら移行するような、この手のひらはあそこでばいばいしているこの手のひらの幾つかを隔てたもののような、もしくはあの手のひらがこの手のひらであの手のひらは幾つかの平面を重ねる以前のあの手のひらそのもので、この手のひらは少し色褪せる
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