ことばを持たない、内包する彼の人へのオマージュ/即興ゴルコンダ(仮)時間外.71/こうだたけみ
 
ことばを持たないのに人と呼ばれるものの
イメージがわかないのはことばを持つもの
が人だと刷り込まれすぎているからだろう
か窓の外には川の上を滑るカヌー乗りたち
とテニスコートのプレーヤーたち目の前に
は反戦デモの看板を背負って新聞を読む男
それらはいま私に語りかけることばを持た
ないかわりに私に内包されることもないと
遅れた日曜の電車の中でぼんやりするこれ
から仕事だというのに各駅停車は徐行する
ゆっくりと彼の人の声をことばにするため
に進んでいるって思ってみる内側へ内側へ
トントントン誰かいますか聞こえてますか
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