線/大覚アキラ
 
あたらしい世界にやって来たぼくたちは
とりあえず線を引いた

ぼくの土地
きみの土地
あなたの土地
彼の土地
彼女の土地
先祖の土地
生まれてくる子ども達の土地
神様の土地
誰のものでもない土地

そうやってたくさんの線が引かれ
線が増えるたびにぼくたちは
賢くなったり豊かになったりしたような気が
なんとなくしたけれど
もう線を引くための土地が
そう多くは残っていないことに
ぼくたちは気づいていた

次にぼくたちがしたことは
土地の交換とかそういうことだった
線の引きなおしがあちこちでおこなわれ
ある者は
より広い土地を手にし
またある者は

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