風景/乱太郎
何処にも見つけることは出来なかったはずだ
そう訴えているかのように
私の視覚を証言台に立たせ尋問する
画家であれば画材は其れまでに蓄えてきた感情の十色
上手く言葉を塗り付けようとするが
もうすでに客観的な思考は風に浚われてしまって
静かな吐息だけが証言となる
もう二度と立ち会うことはないだろう
記念にと写した写真とて
記憶のポケットに仕舞いこんで滲みていくのだが
判事も弁護人もいないこの場所で
私はこの瞬間自分の償いをせがまれている
此処は何処だと
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