金木犀/
葉leaf
金木犀が静かに燈る
花びら一枚一枚が
一つずつ詩を破壊しながら
自らを誰にも捧げず
何物をも説明しない
人間の意味づけを
ことごとく拒絶することから
あの橙色が生まれているのだ
救いなどこの世には存在しなかった
そのような絶望が有り余って
樹は成長し葉は茂り
無心に匂いを発し続ける
金木犀が静かに欠落する
土と水と日とのやりとりに
無数の期待と裏切りがあり
自然界の傷つけ合いが
欠落としての金木犀を
この夕暮れに落としてしまったのだ
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