この愛に満ちる星たちへ/オダカズヒコ
あの人の店のそばにあった
公園の緑の匂いがとてもつよく
茶色のオフタートルにジーパンの
彼女はいつも笑っていた
窓ガラスを揺らす
バスの後部座席にふたりで腰を掛け
曇った朝の日の通勤の
つよい風を窓の外にみていた
静かに沈んだ声で
「なに考えてるって」って
彼女が言うものだから
今日は会社をサボって
このまま海へ行きたいと言った
ちょうど私も
そう考えてたところって
ウインクで返す彼女は
ちょっとおませな
小学生みたいに見えた
5秒くらいぎゅっと手をつかんで
キスしたい衝動を抑えながら
僕らはバスを降りた
街に暗闇が落ちてき
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)