舞の涙/オダカズヒコ
老舗のホテルで寝ている舞は
魚みたいで
息もしていないのに
きれいに見えた
お互いどんなしくみで
そうなってきたのか わからないのに
仕方なくそう抱き合って
迎えた朝のような気がした
愛情に問題があったのか
人生に何かが足りなかったのか
とかく大きな問題を残して
迎えた朝のような気がした
ふたりはいつも真剣勝負で
まったく嘘のない世界にいたはずなのに
それが全然 息苦しくもなく
むしろ癒されている自分がいたりした
アフリカのどこかの部族では
女の子が生まれると
木彫りの男の形をした人形を
ひとつ与えるのだそうだ
そういえば昨晩
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