「いちご白書」をもう一度、をもう一度/大覚アキラ
 
きみはまだ覚えてるかい
場末のカラオケボックスで
きみにせがまれて歌ったあの曲
就職活動の真っ最中で
髪を切ったばかりだったぼくは
苦笑いしながら歌ったんだ

就職してからもう十年以上も経って
きみの誕生日さえ
すっかり忘れてしまったけれど
たまに同僚とカラオケにいって
誰かがあの曲を歌うたびに
きみの最後の電話の声が蘇る

もう二度と
会うことなんてないきみのことを
あの曲を聴くたびに
ぼくは思い出すんだろう
何年経っても
何十年経っても
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