鮎は塩焼き、命は塩焼き/
這 いずる
骨の出た傘をさして晴天の空を歩いた
嵐はわたしを押し流して川まで来させた
川の様子を見に来たのよ
川の様子を見に来たのよ
川はすごくおだやかだったのよ
そうすごくおだやかだったのよ
わたしを流してくれないほどに静かで
釣り人が鮎を釣って
その鮎をわたしにくれたのよ
鮎は塩焼きなんてったって塩焼き
バリバリむしゃむしゃ食べてやって
命を食べて命に涙した
嵐が風を吹かせて
麦わら帽は飛んでおだやかに
川に抱かれていった
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