覗き込む/藤鈴呼
苦しいだけよりは
少しばかりの笑顔で 取り繕うと
あなたは 眉を 動かす
連動するように
ワタクシの 唇が
歪な角度で Uの字を 描く
ここから出してと
叫んで いるのね
声には 出せぬ
言葉が 響く
かきむしった 痕も
この 蒸し暑さでは
汗疹と 同化しそうに
思えた
管の後が 不愉快で
引きちぎろうとする あなたの脳裏には
かつての 想い人が
映って いるのでしょう
薄汚れた 湖に
くっきりと 浮かぶ
あの日の 二つの影
そして オール
たゆたう 時の流れは
二人を
一体 どこまで
乗せて いくのだろう
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