煙/オダカズヒコ
の扉は
またみんな閉まる
品川から列車は
私とヘブンスモーカーを乗せて
煙をたなびかせて運ぶ
男は
セブンスターを
背広の内ポケットから取り出し
差し戻すように
名刺入れに重ね
隣の女の手を握ったあと
また唇にはさむ
壊れたプライドが
打ち消していく言葉を
手のひらで持て余すように
唇から煙を吐き出す
日常の殺風景な景色の中に
消し込んでいくSOSの発信機が
ブルブルとテーブルの上と
椅子の下と
膝の間でふるわすように
女のガーターベルトをたくし上げ
そしてズッキーニを突き上げるように
男は私の中で
果てる
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