センチュリーハイアットホテルとブタのブギ/オダカズヒコ
 



じりじりと陽にやけ付く夏の
車のフロントガラスに目を覚ましたとき
高速道路のパーキングエリアは
巨大なトレーラーで埋め尽くされていた

プーマのロゴでプリントされた
スポーツバックを肩に担ぎ
小ぶりのブタが
フロントガラスの真正面を横切る

下っ腹の出たそのブタは
缶コーヒーをグビっと横目であおると
ツカツカとこちらへ寄ってきた

ロックされたドアをガチャガチャと揺らし
「乗っけてくんない?」と
いわれなき言葉を僕に吐く

ウィンドーガラスをおろし
「どこまで行くの?」と訊くと
「ジャカルタまで」

冗談だろっ!

本気だよ
この車なら
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