ターミナル/望月 ゆき
あなたがこどもになった朝も
遥かな場所で列車が発車し、低い速度ですすみ、
セイタカアワダチソウを揺らしている
イケブクロ ニ イキマス
イケブクロ ニ イキマス
と、くりかえしながら
道いっぱいに、線路を描くことに忙しいあなたは
しばしば 世界から忘れられた
血の滲んだつまさきだけが、痛みを主張するけれど
それは どこまでもよそ者でしかない
あなたはかつてそこにいた
あなたはかつて午前七時の東京メトロに
あなたはかつて高層ビルの窓に
あなたはかつてキリマンジャロの山頂に
自らの足跡を見下ろし
鳥が鳥であることを仰ぎ、
空が空であることを嘆き、
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