ちん切り J子の夏/末下りょう
れる
ハサミや包丁は使わない。かさむから要らない。
小動物のように、素早く、噛み切り、
飲み込む
これはカニバリズムではない。SM、MBE、EO、宗教、復讐、刑罰、
職業、プレゼント、これらによるちんこの切断を
J子は認めない。
スキャンダルはあるが魅惑はない
慎め、無作法だ。同意を求めるな。
ただ好きなちんこが切れる、それだけだ。
ちんこ羨望? 古臭くてうるさい。
J子はアイスキャンディーを陽射しにかざして溶かす
何にでも裏があるなんて人間の病気だ。
治ることのない病いだ。
J子にはいま確固とした肉体があり、
うまれながらの愛情がある
J子がいつ好きなちんこを切るかは誰もしらない
J子にもそれはわからない
水色のアイスキャンディーが
J子の指先を甘く濡らす
おなかがひえて、ぐるぐるとなる
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