夏の魚/yo-yo
 
コップのなかに
残された朝と
醒めきらないままの
水を分けあう

魚のかたちをして
水がうごく
夏のはじまり
ゆっくり水際を
泳いでゆこうとする
小さな魚だ

草となり
ただ草となる
それだけの
夏があることを
魚は知らない

水となり
ただ水となって
いくつも水紋をひろげ
やわらかい鰭で
夏の回想を重ねていく

そして魚は
水の雲を砕こうとして
空にはじける
一瞬の夏を残して






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