終戦/たもつ
 
 
 
プラスチックが降り積もる
世界は彩と形に満ち溢れ
ラジオからはいつものように
幸せな物語が流れている

どのように話したらよいのか
君に話したいことがたくさんあるのに
話すべきことは何一つない

蝉しぐれの間を抜けて
子どもたちが走っていく
机の上に放置された夏の宿題は
またいつかの蝉となり
命と呼ばれるだろう

光に向かって開け放たれた窓を閉める
と、それは必ず
私たちの拙い瞼だった
 
 
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