雪月花/
一筆
はらはらほろり
あのひとが帰る
肩に降り積む雪のひとひら
ついてゆきたい
それはできない
せめても帰路の足跡を埋めて
なかったことにしておくれ
夜半の月
鏡の中に白い顔
黒髪の雲に隠されて
流星のごとく雫が落ちる
願いをどうか叶えておくれ
想いはいつも間に合わぬ
窓の影
吐息の花をいくつ咲かせて
約束の人を待っている
あなたは来ない
はらはらほろり
雪にこぼれた花のひとひら
私もどうか埋めておくれ
はらはらほろり
音もなく
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