月の部屋で/宣隆
 
月のない部屋で
夜の靴を脱いだら
恋の魔法を閉じて
ひとつの影になり
込み上げる指先で
君を包む線を描く
無くさない強さを
そっと背中で結ぶ

煌めく星のような
刹那を綴りながら
流れ落ちた衣装が
引力を失った傍を
くぐり抜けた後の
目を閉じる場所で
温もりを分け合って
揺れる軌跡を重ねる

無重力になるまで
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