擬態と観察 決して触れず/はて
 
薄暗い部屋で少しの明かりに照らされた少女の瞼は俯いた睫毛に淵取られ表情を隠していて憂愁を湛えているがそれは一つの擬態かもしれない、と想像してみても何も得られるものもなく ただひたすらに隠れている欲望を見つけることもできはしなかった

少女は、少女は、少女は
暗がりにいる私を知っているが
それでも私には一つの目もくれない

私は、

全体が見えないほどの明るさの中で少女が座っているであろうことを知っていて足は長いスカートの中に収まっているのだろうと思い動く気配のない脚を想像する、折れ曲がり引っ付いたその隙間、その肉の重なり ただひたすらに隠されている肉体を見つけることもできない

少女はそこにいるが、私はここにいてはいけないかのように無視されている
私は少しの明かりに照らされるその身体の、その他、を見つけるために居座り続ける

私が見つけたいものは、その他、にあると強く確信している
少女は、少女は、私の、私が、欲しいものを隠している

一つだけ、それを晒してくれたなら、と私は居座る
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