報告/葉leaf
 

           ――D.K.へ

あなたは穏やかな光の輪を、都市の人々の瞳の裏側から見つけ出しては、一つ一つ連ねて一冊の純粋な本を作った。始まりも終わりもない劇のクライマックスで、錯綜した青春の夏日は次々と終わっていったが、青春の残照はいつまでも人々の血流に波動として干渉していくのだった。あなたは人間の青春の目撃者であり、被害者であり、加害者であった。青春というこの緩やかな事件にあなたは深くかかわり、詩集という自白を行ったのだ。

だがあなたは美しく柔らかいものについて記述を重ねながら、厳しく硬いものについてはほとんど記述しなかった。社会や組織や暴力といった咀嚼を拒むものについて
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