労働/葉leaf
人の輪郭ばかりがまばゆく降り積もり
忘却される往還は歌として刻み込まれて
歌は正確に人のさざ波を導く
正しさに先立つ正しさは愛欲に似て
幾つもの河を集めては飛び立たせる
人生がすべて糧であるならば
人生の音階は肉体への報酬である
決して抽象され得ない焦げ付きが
酒のしずくとともに土ににじんでいく
機械がまたたく日々に健やかな産声が
書類が融ける日々に黙された勝利が
どこまでがにんげんの領土であろう
どこからがしゃかいの管轄であろう
ひたすら低く詩作する者にとって
にんげんとしゃかいは同じ動物だ
葉を茂らせては散らして陰を溜められない
ひとときの存在で歓喜する動物のために
大地は地鳴りを授乳し続けている
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