なかせないのは/
砂木
泣くほどの事なのでしょう
向かいにたっている鏡に映る
ただ形でしかないものを見る
泣くほどの 事 なのでしょう
つらいからと逃げられない
逃げ切れないと 千切れて行く
いずれ 切れ切れになれば消えて
鏡にもうつせない まぼろしばかり
笑い損ねた胸に
積み重なる時間の音
触れてほどける すがるような呪文
泣かせるのは嫌いですか
鏡を割る 割れる音は 未来という破壊者
泣く事から始めてもいい
破り捨てる 幻は涙に敵わない
なかせないのは だれ
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