37.5℃/竹森
コンビニのアルバイトを辞めたら制服は手元に残らなかった。高校とは違うんだねと今更ながら実感する。
母が瞬く間に痕跡を消してしまうからこちらも負けじと、僕の物だと、お皿に痕跡を残していった。「おかわり」。そのとき見せた母の柔らかな微笑は、今も理由を変えて僕を混乱させている。
卓上に散乱する紙コップを眺め、足でそれらをどかして、ざまあみろと、呟く。本当にざまあみろだ。僕は、死に方を決めるべきタイミングを逃してしまった。思っていた以上に、その決断は、急ぐべきだったんだ。
J-POPからJAZZへ、JAZZからCLASSICへ、CLASSICからHIP-HOPへ。それが、かつての僕の音楽
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