砕けちった夏/這 いずる
歩むにつれて足の先からとけていった
こんなだから冷たいアイスを食べよう
こんなだから冷たいアイスをたべよう
コンビニの涼しさにもぼくの溶解はとまらず
浴衣姿の店員がミンミンと鳴いて
鳴けば鳴くほど死を期待させるので
ぼくはあやまって
そうあやまってセミを殺した
セミはジジッと死んだ
勝手に死んだんだ
ぼくはでろでろな手で
顔を覆う
他人の体液は不快だ
このすべては熱さのせいだ
アイスを持って外に出た
そこは100度でアイスは食べる前に
滑り落ちてアスファルトにぽとり
じゅっと蒸発した
ぼくの終わりは
空輝く光輪の大きさからわかる
世界は陽炎に消える
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