わたしが誕まれた日/伊藤 大樹
 
葉が
笑うように
波うつ

五線紙のうえに
窮屈そうに
散らばる
音符と休符

人は
歌うことを
ためらっている

それでも
陽は
けなげに昇りつづけ

詩の一行が
推敲されて
省エネされる

幾多のパンが焼かれ
幾多のコーヒーが注がれ
世界は
匂いに満たされていく

存在に
立ち向かっている
自然よ
風よ
わたしもおなじだ

こんな朝
わたしは
誕まれたのか
知らん
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