秋/葉leaf
 



俺とお前だけをめぐる静かな風に
何も唱えるものを持ち合わせずに
鮮やかな紅葉の幻想に乗って
お前そのものが伝わってくる
交わす言葉はすべて常識的だが
本当の言葉は沈黙して
かわりに重く複雑な感情となり
俺の胸を長く焼き続けた
ここでとても大事なものが終わった
とても寂しくとても不吉なものが終わった
ここから非常に些細なものが始まる
著しく寂しく著しく不吉なものが始まる
まなざしと表情がいつまでも苦しい
その苦しさには時折極上の甘みが宿って
愛というものがもはや謎に変わり
愛というものが解決不可能な闇に変わり
俺とお前とは偉大な空虚の前で
こんなにも明らかに契約を証し立てた
互いに知らないうちに結ばれ
互いに知らないうちに次々と変更されていく
夕陽の残照のような猛々しい契約を

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