額縁/葉leaf
仕事上のトラブルで疲弊した私は、医者の診断書をもらって長めの休暇をとった。しがらみの藪の中で沢山の蔓を引きちぎって、ようやく手にした明るい広場のような休暇だった。この明るい広場には何から何までそろっていた。普段の私の視界など筒状の非常に狭いもので、社会とかいうつくりものの万華鏡をのぞいて全てが分かった気になっていたが、いざ万華鏡を取り下げてみるとそこにはほんものの全てがあった。万華鏡も筒の外側の模様がよく見えたし、何より全方向に向かって自然も人間も社会も世界もその肢体を自由に伸ばしていた。
とりあえず私は実家の農作業を手伝うべく、薪割りを始めた。薪割り機にガソリンを注ぎ、エンジンをかけて
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