休養/葉leaf
 



体だけではない
体をめぐる血液も
体を覆う衣服も
方向から自由になったのだ
方向でないもの
例えば香りや手触りのようなもの
途端に私は対象になり
香りを発し誰かに触れられるものになった
方向がないから論理も倫理もない
論理や倫理以前の受動的な対象として
もはや私に意識はない

不意に私の周りは扉だらけになる
簡単に開く豪華な扉で
いろんな場所につながっている
だが私はひたすら扉の造りに感動するばかりで
扉を開こうとは思わない
扉の先にある希望も絶望も何も要らない
ただ扉があること
そこに意味を見出すことなく
無意味に扉の構造だけ眺めていたい

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