麦雨譚 -- 短歌集/
伊藤 大樹
村雨に光れる木々の目覚ましやわが心中の青きビニル傘
五月雨に光るる道の白皙の汝(な)がポケットの淡きセブンスター
ぬばたまの夜に流るる精液の氷のごとき冷ややかさ
けふ夢に出てきた君の瞳(め)にはあを身捨つるほどの祖国もあらじ
スタバにてくゆる珈琲をすすりつつ朝の渋谷の往来を見る
背もたれに君の襯衣(シャツ)と卓上のまだ仄ぬくいティーカップ
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