『ラッキーストライク』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
しは叫びました
「これでもうあなたは自由だ
わたしがあなたをきっと幸せにします! 」
すると彼女の真っ赤な唇から
卵まみれの咥え煙草が落ちて
アスファルトの上を転がりました ええ
たぶん ラッキーストライクが──
そうして
彼女はわたしの股間をおもいっきり蹴り上げ
ハンドバックの金具の部分でこめかみを二度三度殴り
倒れた私を鋭いヒールで十数回にわたって蹴り踏み
罵り 唾を吐きかけ 立ち去りました
わたしはその後 失神したようで
しばらくして意識が戻り
なんとか歩けるようになってから
こうして 警察へ出頭したわけです
――刑事さん そんなに
笑うことはないでしょう
《ラッキーストライク:2015年5月24日》
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