詩歌集「うずく、まる」より自選十五首/夏嶋 真子
 
かりの帯となりゆく列車


Metallic lyric脚を君のためきっかり二時の角度にひらく


いもうとが息をはくたび粉雪は少し遠くへゆきさきかえる


むこうから誰かが歩いてきたけれどいないみたいにすれちがうこと


初めての眼鏡をかける夕暮れの明朝体のはらいの細り


いつまでも生えてこなくて憧れるエジャキュレーション 銀河のような


デネブ発アルビレオ行 ポケットの胡桃で二枚切符を買った



書肆侃侃房新鋭短歌シリーズ23「うずく、まる」より  

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