みずうみ/
もっぷ
西の海に陽の帰ってゆく憧憬を
一度もみたことがない
焦がれながらまた
首都高に落ちてゆくきょうをあきらめている
校庭をあの子と屈託なく駆けまわっていたこと
その日日がほのかな願いに育っていったこと
そして少年は中学のなかばに
遠くへ越していったこと
真夜中の片隅で
膝をかかえこんでいる少女
デュラレックスのようなもろさで
漣よ、さざなみよ
誰も知らない心のなかの
こころのなかのみずうみの
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