こみあげる景色/プテラノドン
真昼の冬空
風は片っ端から雲に形を与えていたが
僕は言葉に出来ず 見つめる視線は気絶した
灰色が潰れた雲の上でジェット機が飛ぶ
ぼろぼろとなった空の鼓膜は 僕の声はおろか
トラクターの車輪が地面を噛む音だって知らないだろう。
しかも本当は 無音に 歯ぎしりが混ざってるのを聞き分ける事なんて!
辺りは淋しくそれだけだった。
牧歌的な林や森があるにはあったが、ライフルを構えた男が潜伏しているんだ。
「あいつ等は風上に立たずに風下から風下へと移動すんだぜ。」そう語った男の頬は、
薔薇で鞭打たれたみたいに赤く魅力的だったが、
結局のところ彼は ここから遠くに見える工場群の ガラス工場の片すみで働いている。
「仕事を辞める」と切り出してから三年も経ったが、
「辞めない方がいいんじゃないか?」と、今頃になって彼の父は言う。
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