「少女のほんと」 2015.06.23 (一二首)/もっぷ
 
空の色すみれの頃に誕生花すみれの星座の産道通る


初めての子として子供用の椅子に腰掛け初恋のひとの名は母


太陽の色した離乳食の日はいまでもわかる嬉しかったこと


ニンジンといつ知ったのかニンジンと「ママ」より先に言ってしまった


弟を孕った母だけどその前からあった離婚の話


母親が産んで五年の少年に姉を殺せと包丁持たせる


叱られた翌朝にはもう新しい橙色の太陽と日々


毎夜毎夜泣いて朝には腫れた顔して待っていた母さんの 愛


親ならば母親ならば子は可愛いはずだと習ったわけでなくても


愛だけだったほしかったのは本当に愛だけだったバービーじゃなく


二十歳過ぎてさえも目ざめぬ愚かさの償いしてる「だれに」「私に」


あの頃の殺意もほんとそしてまた母恋うだけのたましいも だった。

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