d?tente/kaz.
 
窓を閉め切って
小鳥は飛び立てない
部屋を出て世界へ 止まり木のない林を見てみたい 武力がわたしを束縛する 抗生物質の魔法の弾丸 何発胸に受けても治まらない咳が 軋む窓を勢いよく閉じてしまう あの金属音が鋭い痛みとなって わたしを冷たくしていくの


孤島は燃えている
浜が崩されて
堆積した鉱物は陽射しを返す
遠くを臨むなら
目を凝らさなければ太陽にも見えてしまう
何千トンの水と 何万匹の海洋動物を沸騰させて
今まさに海に落ちてきた太陽は
頭痛がするほどの光と水蒸気の爆音を
窓に響かすのだ



羽が 拡げられ
翼の内側の皮膜も
よく見えるようにばたつく
小鳥の身体は温かく
瞳を落ちていく羽にもまだ残っている質量が
加速していく
聞こえるのだ この煩わしい陽の中でさえ
雪解けしていない一室に舞う羽毛が床に落ち
カツン、
ようやく始まった


熱で
窓は軟らかくなり
溶けていく
ガラスの気体は青く
空へと続いている 潮風を運ぶひとつの道ができる
きっともう二度と戻らないことを祈りながら
私は小鳥を見送る

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