『聖母ジェンマ』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
長い時間だった
少し日も傾き始めたころ
やっと雛鳥は殻を脱ぎ捨てた
そうしてジェンマを見るなり
「ママ! ママ! 」
ジェンマは涙がこぼれそう
もちろん食事が出来ることが嬉しくて嬉しくて
それにしても雛は小さい
一口でペロリだ
ジェンマはふと冬を日々を思い出した
あの辛く寒くて長い冬
虫や蛙すらいなくなる季節を
今この雛鳥を食べても
明日にはもう腹が減る
ふと ジェンマはある計画を思いついた
?そうだ 秋までは今まで通り
何とか蛙や虫で我慢して
冬が来る前にこいつを食べることにしよう
こいつはおれをママだと思っている
おれの傍で大事に育てて
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