12秒間のニューヨーク/大覚アキラ
 
パートの最上階の部屋で
 熱いシャワーで汗を流して
 グッチのスーツに袖を通して
 イエローキャブに飛び乗って

 で、
 グランド・セントラル駅の近くのカフェで
 いまエスプレッソをオーダーしたところだ。

 カップの中の
 エスプレッソの渦が描く小さな銀河系を眺めながら
 「おれはまるで、虎のようだ」と思った。

 ドアが開いた。


おれの右手には
22口径のリボルバーが
しっかりと握られている。
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