海を目指す/
竜門勇気
水牛の角をしゃぶりあげる農夫
爪の間で黒く光る唾液で
乱雑な本棚に覗く
オイルライターの火を消してる
腐った出来損ないだけが乗れる
朝晩三本のバスに揺られる俺はそれを見てた
膝を撫でながら心のなかで
たくさんの死者を弔った
でも、こいつらの中で手を振るのは誰
死者が僕とつながって
めちゃくちゃな模様の蜘蛛の巣と
鏡合わせで全く逆向きの
死者と僕の五線譜が
なんだかありきたりの音楽になって揺れてる
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