春の夜/veronica
 
春は、夜の空気が生ぬるくまるで質量を持っているかのように、

我々の膝やその裏を撫ぜてくるので私の撫でられ慣れてない膝はいつも行き場をなくすのである。

持て余す膝。どことなくよそよそしく、また少し照れるように、夜の空気をかき分けて進む膝。私は春が好きだ。

春は夜と膝が恋人であり、私は春に憧れる。
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