/もっぷ
私の
右のてのひら
左のてのひら
載っているのは
目に見えるものばかりではない
見えないけれども
無力でもないそれらは
良いものとは限らず
悪いものとも限らない
間違えて捨て
間違えて可愛がり
間違えに気づいて泣き
気づかずに過ぎる
ひととして生まれて
ほんとうによかった
この言葉は目には見えずに
両方のてのひらに載っている
良いものであり
間違えではなく
可愛がるべきで
しばしば想うべき、
そんな
大切なもの
この言葉は手放さない
たとえ
湯気を立てている目の前のシチューを
気持ちよくゆずったとしても
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