放熱/もっぷ
 
コウノトリが
光りを運んできてはじまる一日は
約束に満ちている
四丁目への福音

聞いてほしい
聴いているよ

ほほ笑みの爆ぜる音が
煤けた下町に響き渡る/わたしは
泣いているビルの部屋のなか
隣りの工場(こうば)が繁盛を唄ってる/わたしは
その歌をしっかりと聴かなくてはと
耳を傾けてわたしの知らない科学を想う

階段を駆け下りたのか上ったのか
ぐるぐると その形 覚えています

ぐるぐる

なぜかな
願ったのかな
科学にもわからないこと
絶対にわからないこと
会いたい何かが誰かがあって
(まっててくれてることもわかってて)
、この衝動は苦しいよって思ったら
階段も 痛いよ って(たしかにきいた)

ぐるぐると/

この町のビルの部屋のなかで
泣いているこのなみだこそが
きょうの福音の具現なのだと

いてあげるから
いってごらんよ

…居てほしい、
聴いてほしい!


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