その程度のやわらかな感情/
初谷むい
あなたなど信じないままどうしてもあなたに似ていく初夏の耳殻は
イヤフォンの垂れ下がってる首筋のせいだよわたしが海になったの
さみしさはぼくの美徳だ交差点ごしにあなたの自転車光る
きみの声しろくてきれいで許せない夏に射られるまでの数秒
やわらかい嫌いに気管を塞がれるできれば失ってほしいわたしを
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