背徳感/智鶴
 
そびれた烏が啼いて、鳴いて
泣いた

煙草を消して意味になる
取り戻せない後悔と灰が漂う空間で
君は霞んで、まるで別人
息苦しいほど
独りよがりの背徳感

唯一
信じられる筈の体温に踊らされて
あぁ、全て幻だったのかも
僕は幸せ、伏して背合わせ
冷たい床と体温だけ愛し合って
世界を裏返して初めて君が嘘だって知った

桜の香りがしていた
君が見える度に不安定な眩さが
暗転する

本当は
寂しくて仕方なかったよ
ほんの一瞬だけでも君を手に入れた
そのせいで

戻る   Point(1)