夜想/葉leaf
夜の電車に集う顔の下の人生
流れていったのだろう
全て水のように
喜怒哀楽も修羅場も栄光も
きらきら光る水の輝きでしかない
君たちは気付いていない
君たちは自分が思っているよりも
ずっと美しくここまで流れ着いた
このまま夜の彼方まであと少し
人生は全て例外なく美しい
こんな深夜に
無音の絶叫が聞こえてくる
大きなあくびのように
間抜けでおおらかな絶叫
大地が闇の余りの重さに耐え兼ねて叫んでいる
僕にだけ聞こえる
何故なら僕はこんなにも親しく
大地に影を落としているのだから
みんな賢くなればいい
賢さはひとつの正義であり法だから
賢さはいつでも個人から抜け出して
あなたや社会や世界まで届いていく大きな法だから
愚かさは法になるだけの密度が足りない
僕が言っているのは密度の話でしかない
こんな夜には闇の溜息が充満していて
密度が否応なく高まっていやしないか
深夜、人々は圧倒的に賢い
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