黒い袋/島中 充
 
のうじむしを食え
そのように人間は生きてきたと
そしてそのように死んでしまった
海のかなたから 密林の奥から
黒い鳥が集まって来た
魚の周りに這い出してきたうじむしを 夢中でついばんだ
私はうじむしをついばんでいる黒い鳥に成っていた

人間は黒いごみ袋を懸命に抑え込んでいた
父も叔父もごみ袋の中でとうに死んでいた

私は家に帰り袋の中から魚を取り出した
もう跳ねたりしない
えらの後ろから出刃を差し込み 頭を切り落とした
私は それを箸でたたきながら 
焼いて 食った

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